2015年8月5日水曜日
1、お城を出てみて、出会ったもの。
父王の配慮によって、お城の中で美しいものばかり見て
育っていたシッダールタ。
しかしある日、お城の門を出た彼は、
それまで見たことがないものを目にします。
四門出遊(しもんしゅつゆう)
シッダールタが住んでいたお城には、
東西南北にそれぞれ1つずつ、門がありました。
シッダールタが東門から出てみると
背中が曲がり、髪が真っ白で、顔も体もシワばかりの人間を目にしました。
従者に、
「あれは何か?」
と聞くと、
「あれは老人といいます。誰でも年をとると、あのようになります」
と答えました。
それを聞いたシッダールタは、
老いという苦しみを知り、それ以上出かける気になれず、お城に戻ったのでした。
次に南の門から出てみると、
顔をゆがめ、もがいている人間を見かけます。
従者に、
「あれは?」
と聞くと、
「あれは病人でございます。誰でも病気にかかります」
と答えました。
シッダールタはそれを聞き、悲痛な気持ちになり、
またしてもお城に戻りました。
また西の門から出た時は、
大勢の人々が泣きながら、横になって動かない人間を囲んでいるのを、目にしました。
従者に、
「あの者たちは、何を囲んでいるのか?」
と聞くと、
「あれは死者でございます。誰でも最後は死にます」
と答えました。
シッダールタはそれを聞き、「では、私も死者というものになるのか」と問います。
従者は「死を避けられる者はおりません」と答えました。
死を知って憂鬱な気持ちになった王子は、お城に戻りました。
最後に、北の門から出ると、
簡素な布だけを身につけた人間を見かけました。
身なりだけを見れば貧しいはずですが、
その顔は満ち足りているように見えます。
王子が従者に、
「あれは、何者か?」
と聞くと、
「あれは修行僧でございます。悟りを求めて出家した者です」
と答えました。
それを聞いたシッダールタは、
「これこそ私の求めていた道だ!」
と、出家することを決心しました。
四苦八苦
このシッダールタ王子のお話は、
人生でかならず起こる四苦を表しています。
みなさんは、「四苦八苦」という言葉を知っているでしょう。
苦しいことがたくさんある時、
「四苦八苦してるわ」
などと言います。
実はこれ、もとは仏教で使われていた言葉です。
数字の四と八は、それぞれ苦しみの種類を表しています。
シッダールタは四門出遊を通して、
どうしても避けられない苦しみがある、
と気づいたのです。
ではこれから、四苦八苦をマンガで見ていきます。
1 生苦
これは、生まれてくる時の苦しみです。
赤ちゃんが母親のお腹から生まれてくる時、
大変な苦しみを味わうのです。
その苦しみのために、自分が前世で何であったかを忘れる、
と、仏教では言われています。
2 老苦
これは、年をとり、身体や頭脳が衰えていく苦しみです。
誰しもが、老いから逃げることはできません。
最近は若さを保つために、健康法が注目され、
健康に関する本も、大量に出版されています。
しかし、若い時代の肌ツヤや筋肉、頭の回転をそのまま維持することは無理です。
自分の容姿に老いを感じる時、なんとも言えず寂しくなります。
3 病苦
とても健康な人でも、いつ大きな病気にかかるか分かりません。
あんなに元気だったのに、大病でやせ衰えて……という例は、
いくらでもあります。
私も、急に病に倒れる可能性があるのです。
4 死苦
どんな美人も、大金持ちも、いつか必ず死ぬ日が来ます。
しかも、その死ぬ日がいつくるのか、予想がつきません。
事故で死ぬ人も、その日の朝、まさか自分が死ぬとは思っていません。
若いからといって、老人より長生きできるとは限りません。
いつ命が切れるかは、誰にも分からないのです。
※「光雲な毎日」という本の中で、
四苦八苦の「八苦」までを、説明しています。
(残り4つの「求不得苦」「愛別離苦」「怨憎会苦」「五蘊盛苦」)
立ち読みページの「第三章」で全て読めますので、
興味のある方は読んでみてください。
立ち読みページ「光雲な毎日」
http://koun18book1.blogspot.jp/
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