2014年7月13日日曜日

『ぼくはお金を使わずに生きることにした』 マーク・ボイル著

 
 
 
 
 
とてもおもしろい本をよみました。

『ぼくはお金を使わずに生きることにした』
マーク・ボイル著 

http://www.amazon.co.jp/dp/4314010878


表紙には、ジーンズをはいてマグカップ片手に野外でお茶を飲む、ヒゲ男子。

アイルランド出身のマークさんです。
野生的なアウトドアマンに見えますが、実は頭もすごく良い人です。

アイルランドで生まれ育ったマークさんは、
就職のためにイギリスに行きました。

そしてイギリスに6年間住んで、故郷のアイルランドにもどったところ。
ふるさとの町は大きく変わっていました。

以前であれば、町の通りを通過するのに15分かかることもあったそうです。
(知り合いばかりで、みんなが話しかけてくるから。)

それが、今ではみんなお金を稼ぐのに忙しくなり、
通りに向けて開け放たれていたドアは閉ざされ、
話しかけてくる人もいなくなりました。

これはアイルランドに、「ケルトの虎」と言われる
急激な経済成長が起こったためです。

イギリスでオーガニック食品会社の運営にたずさわっていたマークさんは、
現代の貨幣経済の問題点に気づいてしまいます。

消費者(人)と消費される物(サービス)の間にある、大きな大きな距離。


マークさんは言います。
 

「われわれが皆、自分で食べ物を育てなければならなかったら、
その3分の1を捨てるなんてことはしないだろう」
 

「目抜き通りの店で気に入った服も、
武装兵士に監視されながら布地を裁断する子どもの表情を見ることができたら
買う気が失せるだろう」
そして、利子の存在する世界では、助け合いの文化が衰退してしまい、
競争が激化することにも気づきます。

以前であれば、当たり前に農家同士で協力していた収穫作業も、
今では、お隣の農家の収穫を無料で手伝う人はいなくなってしまった。

新しい商品やサービスを買うためには、お金を得なければならない。
普通に生活するだけでも、お金が必要になる。
お隣さんを手伝っているヒマはない。

 

「この新しい競争主義は、孤独感、自殺、心の病、反社会的行動など、
町が抱える問題の一因となっている」

とマークさんは分析します。

いつか必ず無くなる石油に依存しっぱなしの世界にも、疑問を抱きます。

いろいろと考えたマークさんは、ある答えにたどりつきます。


それは、

『代償なしで与え合う』

ということ。
 

マークさんは、
 

「相手の人生をもっと楽しくしてあげられるからというだけの理由で、代償なしに何かを与えるとき、絆が生まれ、友情が育ち、ゆくゆくはしなやかな強さをもったコミュニティができあがる。ただ見返りを得るために何かをしても、そうしたきずなは生まれない。」

と言い、利子のつく現在のお金はもちろんのこと、利子のつかない地域通貨や、
原始的な物々交換すら飛びこえた結論を出したのです。

 
こうして最終的にマークさんは、1年間お金を使わずに暮らす!と宣言してしまいます。


これが話題を呼び、イギリスのBBCや各マスメディアに取り上げられるのですが、
その生活は読んでいてすごく引き込まれました。

 
移動手段は、徒歩・自転車・ヒッチハイク。
お湯を沸かすのはオリーブオイルが入っていた缶で作った薪ストーブ。

住む場所は、タダでもらったトレーラーハウスを、農場と交渉してすみっこに置かせてもらいます。

紙が必要なときには、カンバタケというキノコをつぶして薄く薄くして、

スポンジで水分を取りながら乾かして作ります。

お風呂は、黒いビニール袋に水をいれて、太陽の熱で少しあたたまったところでシャワーします。

友人に会うためだけに、往復60キロの距離でも自転車をこぎます。

(彼のすごいところは、このカネなし生活をたった一人で始めたことです。

もしも回りにカネなし生活を同時に始める人たちが10人でもいれば、
もっと助け合えてスムーズな生活ができたはずなのに。)

たくさんの予想しなかったトラブルを経験しながら、
マークさんは、
お金に支配されない時間を深く味わいます。

 感覚がより鋭くなったためか、彼はさらにおもしろい試みをします。
 


「言葉をもう一度自分の手に取りもどしたい」
 

といって、彼は一週間、何もしゃべらず無言でいることにしたのです

相手に自分の望む何かをしてほしいから、言葉だけの好意を伝える。
 

そんな上っ面のコミュニケーションが嫌になった彼は、
いで気持ちを示す本物のコミュニケーションを取りもどそうと、
一週間の無言の行をやったのです。

そんな彼のまわりには、与え合うコミュニティが自然と出来あがっていきます。
 

この本を読んで、とくに気に入った点は、
 

「相手の人生をもっと楽しくしてあげられるからというだけの理由で、
代償なしに何かを与えるとき、絆が生まれ、友情が育ち、
ゆくゆくはしなやかな強さをもったコミュニティができあがる。」

というマークさんの考えです。

これは、とても納得できるし、すてきなことだと思いました。


さっそく、何か与えたいもんじゃ。



うちに読まなくなった本があります。
『リアル』という車椅子バスケットの本です。

取りにこれるかた、差し上げます。



*      *      *      *      *      *      


(後日、ぶじに『リアル』をもらってくれる方があらわれました。

この本は、名作です。)





『リアル』差し上げます。


読書用ライト、差し上げます。





 
 

 

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